住民税の申告は必要?住民税の中身と内訳は
住民税の申告って必要なの?
所得税の申告をすれば住民税の申告は不要
住民税は、所得税の申告に基づいて計算されます。
そのため、所得税の確定申告をしていれば、住民税の申告をする必要はありませんし、所得税の節税対策をすれば同時に住民税の節税対策にもつながります。
ですから、住民税について細かい知識は必要ありません。基本的な知識だけで十分です。
住民税の中身は?内訳はどうなってるの?
道府県民税と市町村民税
道府県民税と市町村民税を合わせて、住民税と呼んでいます。
道府県民税は、道府県が課す税金で、市町村民税は市町村が課す税金です。なお、東京都の特別地区では、都民税(道府県民税)と特別区民税(市町村民税)として課税されます。
住民税の均等割
均等割は公共サービスの提供を受けている住民の1人として、すべての人について平等に均等額を負担するものです。
住民税の所得割
一方、所得割は所得の多少により税額が決まるもので、所得税の所得金額を基に計算されます。住民税がかかるとか、あるいは住民税の負担が重いとか、言ったりするのは、この所得割のことをいいます。
社会保険料控除や生命保険料控除などは、所得税の計算上、所得から控除されますが、住民税を計算する上でも控除されます。この所得割から控除されることになります。
「所得割額」=[課税所得金額※]× 税率10%(市民税8% 県民税2%)−税額控除
※課税所得金額=収入金額ー必要経費ー所得控除額
(必要経費は、給与収入の場合は給与所得控除、公的年金等収入の場合は公的年金等控除となります。)
住民税の利子割
利子割は預貯金の利子等にかかる住民税です。
預貯金の利子等からは20.315%の税金が源泉徴収されますが、そのうちの15.315%分が所得税(国税:所得税+復興特別所得税)であり、5%分が住民税でこれを利子割といいます。
住民税の計算期間と納期
住民税の計算期間
住民税の計算期間は、所得税と同じく、1月1日から12月31日までです。
住民税の納期
ただし、納期は1年度遅れることになるため、たとえば、20×1年の所得に対する住民税は20×2年に納めることになります。
なお、納期は6月、8月、10月、1月の4回に分かれています。
住民税の納付方法は普通徴収と特別徴収
住民税の納付方法は?
個人市県民税の納税の方法には、普通徴収と特別徴収の二つの徴収方法があり、そのいずれかによって納税することとされています。
住民税の普通徴収
普通徴収とは、市税事務所から納税通知書により納税者に通知され、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)の納期に分けて納税する徴収方法です。
住民税の特別徴収
給与所得に係る特別徴収とは、市役所から特別徴収税額通知書により給与の支払者を通じて給与所得者(納税者)に通知され、給与の支払者が毎月の給与の支払いの際にその人の給与から市県民税を引き落として、市役所に納付する徴収方法です。
また、公的年金に係る特別徴収とは、65歳以上の公的年金を受給されている方について、年金の支払者を通じて年金から市県民税を引き落として、市役所に納付する徴収方法です。
個人事業主の場合、従業員の有無や人数などによって違いはありますが、基本的に事業主本人は普通徴収となっています。
住民税の計算で控除される項目
住民税の計算で控除される所得控除は?
Q.住民税の計算で所得から控除される項目は何がある?
個人事業主です。住民税に関しての質問です。毎年所得税の確定申告は、青色申告をしています。
確定申告書には社会保険料と医療費を控除して計算し、所得控除の欄に記入して確定申告書を提出しています。もちろん控除に必要な医療費の領収書や社会保険料の控除証明書も提出しています。
所得税の確定申告では社会保険料や医療費は控除されていますが、住民税の計算でも同じように控除されるのでしょうか?また、控除される項目はどのようなものがありますか?
住民税の計算で控除される所得控除項目
A.住民税の計算で認められる控除項目
住民税には、すべての住民に均等に課せられる均等割、前年の所得に応じて課せられる所得割、利子所得に応じて課せられる利子割があるとご説明しました。
その中の、所得割は、前年の総所得金額から所得控除額を差し引いたものを課税所得として税額を決定します。
住民税の所得割を計算するときも所得税の所得を計算するときと同様に所得から差し引かれる項目、つまり、所得控除があります。
このとき所得割から所得控除として認められるものが以下に示すものです。所得税の計算とほぼ同じですが、金額が異なる控除項目もありますので一覧にして比較してみましたのでご参照下さい。
住民税の計算で認められる控除項目一覧
本人を対象に、33万円を控除します。
生計を一にし、かつ年間所得が38万円以下である配偶者(控除対象配偶者)がいる人は、33万円を控除します。
その配偶者が70歳以上(老人控除対象配偶者)である場合は38万円を控除します。
控除対象配偶者の所得が38万円を超え、76万円未満である場合、その所得に応じて最高33万円を控除します。また控除される本人の年間所得が1,000万円以下であること。
生計を一にし、かつ年間所得が38万円以下である親族等(扶養親族)がいる人は、33万円を控除します。
扶養親族が19歳以上23歳未満(特定扶養親族)である場合は、45万円を控除します。
扶養親族が70歳以上(老人扶養親族)である場合は、38万円を控除します。
老人扶養親族が直系尊属(父母や祖父母など)で同居している場合は、45万円を控除します。
本人が障害者である場合、または控除対象配偶者や扶養親族が障害者である場合は、26万円を控除します。その人が特別障害者である場合は、30万円を控除。特別障害者と基本的に同居している場合は、53万円を控除します。
夫(妻)と死別した人、あるいは夫(妻)と離婚した人のうち、扶養親族がいる人は、26万円を控除します。扶養親族が子であり、かつ合計所得金額が500万円以下の場合は、30万円を控除します。
本人が勤労学生である場合は、26万円を控除します。
住宅家財などについて、災害や盗難などによって損失を生じた場合は、次のうちいずれか多い方の金額分控除。
(災害損失の金額+災害関連支出の金額※)−年間所得金額×10%
※保険金などの補填額を除く
災害関連支出の金額−5万円
本人が、自身の医療費や、控除対象配偶者・扶養親族などの医療費を支払った場合に、次の金額を上限として控除。
(支払った医療費の額)−(※)=医療費控除額(最高限度額200万円)
※10万円か、年間総所得額×5%のうち、いずれか低い方の金額を代入。
社会保険料として支払った全額を控除します。
小規模企業共済掛金、確定拠出年金に係る企業型年金加入者掛金、個人型年金加入者掛金や心身障害者扶養共済掛金として支払った全額を控除します。
一般の生命保険料のうち、平成23年以前に加入したもの(旧契約)については最高35,000円を控除します。平成24年以後加入したもの(新契約)については最高28,000円を控除します。
介護医療保険料のうち、新契約のものについては最高28,000円を控除します。
個人年金保険料のうち、旧契約のものについては最高35,000円、新契約については最高28,000円をそれぞれ控除。
ただし、それぞれの控除の合計限度額は7万円とする。
地震保険料を支払った場合、最高限度額を2,5000円として保険料のうち2分の1の金額を控除。
所得から控除される項目は住民税と所得税とでは違う
所得から控除される所得控除項目は、所得税と住民税とでは、控除金額が異なります。
所得控除項目と金額を一覧にまとめましたので、ご参照下さい。
住民税と所得税の比較一覧
控除名 | 住民税 | 所得税 |
---|---|---|
生命保険料控除 |
控除限度額7万円 |
控除限度額12万円 |
地震保険料控除 |
控除限度額2万5千円 |
控除限度額5万円 |
障害者控除 |
26万円 |
27万円 |
重度の障害 |
30万円 |
40万円 |
寡婦(寡夫)控除 |
26万円 |
27万円 |
特別の寡婦 |
30万円 |
35万円 |
勤労学生控除 |
26万円 |
27万円 |
配偶者控除 |
33万円 |
38万円 |
配偶者特別控除 |
控除限度額33万円 |
控除限度額38万円 |
扶養控除(16〜18歳、23〜69歳) |
33万円 |
38万円 |
特定扶養控除(19〜22歳) |
45万円 |
63万円 |
老人扶養控除(70歳以上) |
38万円 |
48万円 |
同居老親等(70歳以上) |
45万円 |
58万円 |
基礎控除 |
33万円 |
38万円 |
市県民税がかからない人|住民税がかからない非課税
市県民税がかからない人は?
均等割も所得割もかからない人は?住民税が非課税の世帯
1.生活保護法の規定によって生活扶助を受けている方(教育扶助や医療扶助を受けているだけではこれに該当しません。)
2.障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額の合計が125万円以下の方 (前年の所得が給与所得のみの場合は収入金額が2,044,000円未満の方)
3.前年の合計所得金額が次の算式で求めた額以下の方
35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+21万円。ただし、21万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算します。
所得割だけがかからない人
1.前年の総所得金額等が次の算式で求めた額以下の方
35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+32万円。ただし、32万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算します。
住民税が非課税になる所得はいくらまで
個人事業主の住民税について
Q.個人事業主が住民税非課税になるのはいくらまでの所得なのでしょうか?
個人事業主をしているバツ1の母で3歳の子供が1人います。住民税に関する質問です。
1年間に働いた給与の収入がおそらく100万円程になる予定なのですが、これを所得税の確定申告をして働いていることを証明したいです。
これは子供の保育所への入所申し込みのためなのですが、この際に気になることがあります。
まず、児童扶養手当、子ども手当を受給しているのですが、こちらは所得に含められますか?児童扶養手当は42,000円×12ヶ月分の504,000円、子ども手当は15,000×12の180,000円で合計で684,000円になります。
住民税が非課税になるのは所得がいくらまででしょうか?また、子供の手当は所得に含まれるのでしょうか?
子どもの手当が所得になるとしたら非課税の所得上限を超えてしまいますよね?
A.個人事業主が住民税非課税になる所得上限
住民税が非課税になる条件は次のとおりです。
- 生活保護を受給している人
- 未成年者、障がい者、寡婦(夫)で前年合計所得金額が125万円以下の人(給与所得者の場合は204万4000円未満)
- 前年合計所得が各自治体の定める金額以下の人
収入が100万円であれば、給与所得控除は65万円になりますから、100万(給与収入)−65万(給与所得控除)=35万(給与所得)になります。
少し難しいですよね。所得というのは収入から必要経費を差し引いた金額となります。
給与所得者(サラリーマンやアルバイト、パート)の方は、額面の給料収入から給与所得控除という必要経費を引いた残りの金額が給与所得となります。
また、給与所得控除の他に基礎控除33万円と寡婦控除が30万円認められます。
100万(給与収入)−65万(給与所得控除)=35万(給与所得)
35万円(給与所得)−30万円(寡婦控除)−33万円(基礎控除)=所得はゼロとなります。
児童扶養手当や児童手当は、どちらも非課税なので、所得の計算上含められません。