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飲食店業等を営む者と飲食設備

消費税の軽減税率と外食や食事の提供がイメージできる画像

 

軽減税率の対象となるのか、標準税率の対象となるのか、いろいろと議論されていますね。

 

その中でも、外食の提供に該当するのか、イートインとテイクアウトの場合はどうなるのか?判断に迷うことも多いです。

 

さらには、食事の提供(外食)と一口に言っても、いろいろなケースがあります。

 

各項目ごとに、ケースごとにまとめてみましたので、どうぞ参考になさってくださいませ。

 

飲食店業等を営む者が、テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備(飲食設備)のある場所において行う飲食料品を飲食させる役務の提供(外食)は、軽減税率の対象となりません。

 

ただし、持ち帰りのための容器に入れ、または包装を施して行う飲食料品の譲渡は、外食ではありません。

 

飲食店業等を営む者

「飲食店業等を営む者」とは、食品衛生法施行令に規定する飲食店営業、喫茶店営業その他の飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者とされています。

 

ただし、軽減通達では、このような業種に限らず、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供を行うすべての事業者が該当するものとしています。

 

飲食設備

テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備(飲食設備)とは、飲食料品の飲食に用いられる設備であれば、その規模や目的を問わず、飲食のための専用の設備である必要もありません。
次のような設備も「飲食設備」に該当します。

 

・テーブルのみ、椅子のみ、カウンターのみの設備
・飲食目的以外の施設等に設置されたテーブル等で飲食に用いられる設備

 

例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットは、物品販売を行う施設であって、飲食設備ではありません。しかし、イートインコーナーや休憩スペースにおいて飲食ができる場合には、そのスペースに設置された椅子やテーブルは、飲食設備に該当することになります。

 

また、飲食料品の提供を行う者と設備を設置または管理する者(設備設置者)が異なる場合であっても、飲食料品の提供を行う者と設備設置者との間の合意等に基づき、その飲食設備を飲食料品の提供を行う者の顧客に利用させることとしているときは、「飲食設備」に該当します。

 

屋台の営業

たとえば、屋台の営業は、次のように判断します。

 

軽減税率(飲食設備がない) 標準税率(飲食設備がある)

・テーブル、椅子、カウンター等がない場合
・公園などの公共のベンチ等を顧客が使用することもあるが、特段の使用許可等をとっておらず、その他の者も自由に使用している場合

・屋台の経営者自らテーブル、椅子、カウンター等を設置している場合
・屋台の経営者自ら設置はしていないが、ベンチ等の設置設備者から使用許可等を受けている場合

 

ショッピングセンターのフードコート

ショッピングセンターのフードコートにテナントとして出店した場合、フードコートのテーブル、椅子等はショッピングセンターの所有であり、出店している事業者の設備ではありません。

 

このような場合であっても、ショッピングセンターのフードコートが設備設置者と飲食料品を提供している事業者との間の合意等に基づき、その設備を顧客に利用させることとされている場合には、出店している事業者が行う飲食料品の提供は、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供に該当します。

 

軽減税率の適用対象となりません。


イートイン(店内飲食)とテイクアウト(持ち帰り)と軽減税率

消費税の軽減税率とイートインとテイクアウトがイメージできる画像

 

飲食店業等を営む者が行うものであっても、飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装をして行う譲渡(いわゆるテイクアウトや持ち帰り販売)は、テーブル、椅子等の飲食設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供には当たらない単なる飲食料品の販売であることから、軽減税率が適用されます。

 

持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡

改正法においては、食事の提供には、「持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡は、含まない」とされています。

 

これに該当するかどうかについては、軽減通達は、「当該飲食料品の提供等を行うときにおいて、たとえば、当該飲食料品について店内設備等を利用して飲食するのか又は持ち帰るのかを適宜の方法で相手方に意思確認するなどにより判定することとなる。」としています。

 

さらに「課税資産の譲渡等の相手方が、店内設備等を利用して食事の提供を受ける旨の意思表示を行っているにもかかわらず、事業者が「持ち帰り」の際に利用している容器に入れて提供したとしても、当該課税資産の譲渡等は飲食料品の譲渡に該当しないのであるから、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。」と説明しています。

 

客の多くが店内で飲食する店において、すべての販売につき持ち帰り用の包装を行っている例もあることから、このような解釈が示されたものと考えられます。

 

個別の事例編として、ファストフード店やコンビニエンスストアでの取り扱いが次のように示されています。

 

店内飲食と持ち帰り販売の両方を行っているファストフード店等

事業者が行う飲食料品の提供が、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」に該当するのかは、その飲食料品の提供を行ったときにおいて、たとえば、その飲食料品について、その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定するものとされています。

 

イートインコーナーがあるコンビニエンスストア

イートインコーナーがあるコンビニエンスストアで、ホットスナックや弁当等を、店内で飲食するか否かにかかわらず、持ち帰りの際に利用している容器等に入れて販売している場合には、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象となるかならないかを判定することとされています。

 

ただし、大半の商品(飲食料品)が持ち帰りであることを前提として営業しているコンビニエンスストアにおいては、すべての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問することを必要とするものではなく、たとえば、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととすることができます。

 

飲食できない休憩スペース

コンビニエンスストアやスーパーマーケットの休憩スペースであっても、顧客が購入した飲食料品を飲食する場合には、そのスペースにある椅子やテーブルは飲食設備に該当します。

 

そのため、そのスペースにおいて顧客に飲食料品を飲食させる役務の提供は、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象となりません。

 

ただし、「飲食はお控えください」といった掲示を行うなどして実態として顧客に飲食させていない休憩スペースのように顧客により飲食に用いられないことが明らかな設備は、飲食設備に該当しません。

 

ほかに飲食設備がない場合には、持ち帰り販売のみを行う店舗であるということになり、店内飲食に該当して標準税率が適用される取引は発生しないことになります。

 

しかし、「飲食はお控えください」といった提示を行っている休憩スペース等であったとしても、実態としてその休憩スペース等で顧客に飲食料品を飲食させているような場合におけるその飲食料品の提供は、「食事の提供」に当たり、軽減税率の適用対象となりません。

 

飲食できる物の限定

多くの種類の飲食料品を販売するスーパーマーケットであっても、イートインスペースにおいて、例えば飲み物とパンのみが飲食可能である旨の提示を行って飲食できる物を限定し、実態として限定した飲み物とパン以外の飲食料品を顧客に飲食させていない場合には、飲み物とパン以外の飲食料品については、持ち帰り販売のみを行うこととなり、店内飲食か持ち帰りかを意思確認する必要はありません。

 

しかし、飲み物とパンのみが飲食可能な旨の提示を行っていたとしても、実態としてそれら以外の飲食料品も顧客に飲食させているような場合には、飲み物とパン以外についても店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象を判定することになります。

 

適用税率の判定時期

「店内飲食」と「持ち帰り販売」のいずれも行っている飲食店等において飲食料品を提供する場合に、どちらに該当するかは、事業者が飲食料品の譲渡等を行うときに判断することとなります。

 

たとえば、注文時の時点で、「店内飲食」と「持ち帰り」かを判断すれば、その後、顧客がこれを変更しても、その変更によって適用する税率を訂正する必要はありません。

 

したがって、持ち帰るといっておきながらテーブルで飲食している客を発見しても、差額の税を取り立てる必要はありません。

 

また、店内飲食を希望した顧客が持ち帰りに変更し、2%の税額を返金してくれ、と要求した場合はどうでしょうか?

 

その場で飲食するために提供されたものは、提供の時点で「食事の提供」に該当し、その後、顧客が意思を変更した場合であっても、適用税率は10%ですから返金すべき差額は生じません。

 

ただし、営業上の考慮から返金に応じることは、禁止されていません。返金した場合、その返金は、標準税率(10%)の売上に係る対価の返還となります。

 

ただし、状況によっては、最初に10%といったのは間違いであり、正しい意思表示は持ち帰りであって、8%が正しい税率であると考えるべきケースもあり得るでしょう。

 

料理の残りの持ち帰り

その場で飲食するために提供されたものは、提供の時点で「食事の提供」に該当し、顧客が注文した料理の残りを折り詰めにして持ち帰っても、「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の対象となりません。

 

 

 

軽減税率の対象と外食がイメージできる画像

 

 

 

コーヒーチケット

コーヒーチケットなどの物品切手の発行は、消費税の課税の対象外です。

 

顧客にそのコーヒーチケットと引き換えにコーヒーを提供したときに消費税の課税の対象となります。

 

したがって、コーヒーを提供する時点で、店内飲食には標準税率を適用し、出前や持ち帰りには軽減税率を適用することになります。

 

店内飲食と持ち帰りの税込価格を一律に設定している場合は、顧客がどちらを選択するかによって、本体価格が変化することになります。

 

設定では、共用のチケットによることはできません。店内飲食と持ち帰りとを異なる価格に設定する場合には、それぞれ別々のチケットを販売するしかないと考えられます。

 

また、コーヒーチケットの不課税売上とコーヒーの課税売上とを別々に認識する方法では事務が煩雑になることから、継続適用を要件に、コーヒーチケットを発行した時点で、コーヒーの課税売上を計上する方法が認められています。

 

実務的には、こちらの処理を選択している場合がほとんどです。

 

この場合には、店内飲食と持ち帰りの共用のコーヒーチケットでは、コーヒーチケットを販売した時点で顧客の選択がわからないため、適用税率を判定することはできません

 

持ち帰りもできるコーヒーチケットの販売については、例えば、店内飲食用のチケットと持ち帰り用のチケットを区分して発行する、といった対応も必要になってくると考えられます。

 

食券方式の食堂

食券方式の食堂では、コーヒーチケットと同様に、食券の販売は課税対象外となります。その食券と引き換えに行う料理の提供が課税資産の譲渡等になります。

 

しかし、そのような処理は現実的ではありません。ほとんど同時に行われる食券の販売と料理の提供とを分ける必要はなく、食券の販売を課税資産の譲渡等としています。

 

店内飲食と持ち帰りのいずれかを顧客が選択できる場合には、店内飲食用の食券と持ち帰り用の食券とを区分して発行する、といった対応が必要であると考えられます。

 

回転寿司店でパック詰めした寿司を持ち帰る場合

回転寿司店においては、顧客が食事中に寿司をパック詰めして持ち帰ることがあります。

 

軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」となるのかは、その飲食料品の提供等を行った時点において判定することとされています。

 

したがって、店内で飲食する寿司と区別されずに提供されたものは、その時点で「食事の提供」に該当し、その後、顧客がパック詰めにして持ち帰ることとしても、「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の対象となりません。

 

なお、顧客が持ち帰り用として注文し、パック詰めにして販売するものは、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。

 

列車内の弁当の販売

列車内の食堂施設において行われる飲食料品の提供は、軽減税率の適用対象となりません。

 

他方、旅客列車の施設内に設置された売店や移動ワゴン等による弁当や飲み物等の販売は、次の1と2に該当する場合を除き、軽減税率の対象となります。

 

1.座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供

 

2.座席等で飲食するため事前に予約を受けて行う食事の提供

 

映画館の売店での食品の販売

映画館内に設置された売店で行われる飲食料品の販売は、単に店頭で飲食料品を販売しているものですから、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の対象となります。

 

ただし、その売店のそばにテーブル、椅子等を設置して、その場で顧客に飲食させている場合には、「食事の提供」に該当し、持ち帰りによる販売である場合を除き、軽減税率の適用対象となりません。

 

持ち帰りの販売かどうかは、ファーストフード店の判断に準じます。

 

映画館の座席での次のような飲食料品の提供は、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象となりません。

 

1.座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供

 

2.座席等で飲食するため事前に予約を受けて行う食事の提供

 

バーベキュー施設内での飲食

バーベキュー施設内での飲食は、そのバーベキュー施設を運営する事業者からしか食材の提供を受けることができない場合には、施設利用料と食材代を区別していたとしても、その全額が飲食に用いられる設備において飲食料品を飲食させるサービスの提供に係る対価と認められ、その全額が「食事の提供」の対価に該当し、軽減税率の適用対象となりません。

 

飲食料品を提供する事業者が、バーベキュー施設を運営する事業者自体ではなく、その運営事業者の契約等により、顧客にバーベキュー施設の飲食設備を利用させている事業者である場合についても同様です。

 


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