民泊営業の税金の注意点
民泊営業の所得と税金は
住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月に施行され、民泊が本格的に解禁されました。
自宅の空き部屋などを活用して副収入を得ようと考える人もいますが、注意点も多くあります。その一つが税金です。民泊に関する課税の仕組みを見ていきましょう。
民泊営業と所得税の関係、雑所得で損益通算はできない
はじめに所得税についてです。国税庁は2018年6月13日、宿泊客から受け取った料金を確定申告する際の注意点を公表しました。
注目したいのは所得区分です。民泊によって得た利益は原則として「雑所得」として扱うこととされています。
民泊運営では部屋を貸して使用料を得るため、利益を不動産所得と思いがちです。しかし、民泊の収入には他に寝具や電気・水道の提供、部屋の清掃などさまざまなサービスの対価が含まれ、不動産所得には該当しない、とされています。
税率は、所得の水準に応じて15%〜55%(住民税10%含む)です。雑所得は一般の会社員の場合、20万円以下なら申告する必要はありませんが、他の所得区分と損益通算ができないことに注意しなければなりません。
仮に民泊運営で赤字になっても、給与など他の所得と相殺できず、課税所得を減らせないからです。損益通算できる対象は雑所得扱いの年金収入や為替損益など一部に限られます。
民泊営業と固定資産税の関係
民泊運営に関してもう一つ重要な税金が、固定資産税(地方税)です。現行、居住用の家屋の敷地については特例措置(住宅用地の特例)があり、税金が軽減されています。200平方メートルまでなら評価額が6分の1、200平方メートル超は3分の1となります。
ところが民泊を営むと、その規模によっては居住用と認められず、軽減措置が外れる可能性があります。
一般的な戸建ての場合、本人が居住する面積が半分以上あればそのまま特例対象ですが、半分未満になると、部分的か全面的に特例の対象外となる規制になっています。
自宅で限られた規模で民泊を営むならよいのですが、大部分で営む場合は要注意です。ケースによって納付税額が4倍強になることもあります。
民泊営業と相続税の関係
民泊営業で見落としがちなのが、相続税です。
税制では居住用の宅地を、同居していた子供らが、相続した場合、評価額を8割も減らせる特例(小規模宅地等の特例、330平方メートルまで)があります。
しかし、民泊営業を営んでいた場合は居住用とみなされず、小規模宅地の特例の適用対象外となる可能性があります。
賃貸事業などをしていた場合には50%の評価減が認められますが、民泊は営業日数に上限(年間180日)があることなどから事業と言いづらく、特例が適用されない可能性がありますから、将来かかる相続税の負担が増えかねないことに注意しなければなりません。
民泊運営にかかる税制は、総じてうまみが少ないという意見が多くあります。民泊新法の要件を満たさずに違法に営業する例もありますが、所得が発生すれば納税は義務だというのが税務当局の考え方です。
民泊営業の課税の仕組みをよく理解しておく必要があります。