個人事業主の消費税の確定申告はいつから?
個人事業主の消費税の確定申告の判定ついて
Q.個人事業主の消費税の確定申告はいつから必要ですか?
個人事業主の消費税について教えてください。年間の売上が1千万円を超えると2年後に消費税の確定申告が必要というのは知っております。
この消費税の判定のときの売上というのは税込と税抜のどちらでしょうか?
開業して1年目の年間売上が、仮に999万9,999円ならギリギリ消費税の支払いがないということで合ってますか?
A.個人事業主の消費税の確定申告は売上が1000万円を超えてから2年後です。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
この納税の義務が免除される免税事業者となるか否かを判定する基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいいます。
つまり、2年前が基準期間であり、基準期間の課税売上高とは2年前の売上高のことをいいます。
基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていませんから、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。
ご質問のように999万9999円であっても、1300万、1500万円であっても、開業1年目は基準期間(2年前)の売上高が存在しませんから、免税となります。
売上が1000万円を超えたら消費税の課税事業者に
サラリーマンをしていた方が、独立開業した場合、あまり消費税についてはご存知ないかもしれません。
物をお店で買ったときは、消費税を負担して支払いをするわけですが、個人事業主として商売をはじめたら所得税だけでなく、消費税も申告と納税をする必要がでてきます。
日本で生活している人であれば、だれでも買い物をするときに消費税を払っています。その支払った消費税は、お店のレジから自動的に税務署に納付されているわけではありません。
お店がいったん消費税を預かり、1年分の消費税を集計して納付しているのです。これは物を販売しているお店だけではありません。
サービス業、製造業、飲食業など、ほとんどすべての業種で、売上金を受け取るときに同時に消費税を預かり、税務署に納付することになっています。
ですから、サラリーマンのように給与を会社からもらっている人以外の自営業や会社は、だれでも消費税を納付する可能性があります。
また、以前は、年間の売上が3,000万円以下の事業者は消費税の納付が免除されていました。しかし、現在では免税点(課税対象外になる売上の金額)は1,000万円以下になっています。
したがって、個人事業でも、売上が1,000万円を超えたら消費税の納税義務があるわけです。売上が3,000万円以下で消費税が免税であれば、結構な数の免税事業者がいたと思います。
売上1,000万円〜2,999万円の層の事業者も昔は免税だったわけです。
個人事業主の消費税の免税点の判定は?
個人事業主の消費税の確定申告の課税か非課税か免税点は?
Q.個人事業主の消費税の確定申告の課税か非課税の判定はどうやってするの?
個人事業主の消費税の確定申告について質問です。平成25年に売上が1000万円を超えましたので、平成27年に初めて消費税の確定申告を行いました。
その間、平成25年から27年は年間の売上高が1,000万円を超えています。その翌年の平成28年は売上が920万円になり、1000万円以下になりました。
平成29年分の売上高も1000万円以下で930万円でした。平成29年の確定申告で消費税の申告は必要なのでしょうか?また消費税を支払う必要があるのでしょうか?
A.個人事業主の消費税の確定申告の課税か非課税の判定は基準期間の売上で判定
結論から申し上げますと、平成29年分の消費税の申告は必要です。
平成29年度の基準期間は、2年前の平成27年分となりますから、平成27年分の課税売上高が1,000万円を超えていれば平成29年分は課税事業者となります。
仮に平成29年分の課税売上高が1,000万円以下の930万円であっても、消費税の納税義務者となり、消費税の申告と納税義務があります。
平成28年分は課税売上高が920万円で1,000万円以下になっていますから、平成30年分は免税事業者となります。仮に平成30年分の売上高が1000万円を超えていたとしても、消費税の申告は必要ありませんし、納税義務もありません。
そして、平成29年分の売上が930万円ですから、2年後の平成31年分の消費税の申告と納税の義務はありません。
個人事業主の消費税の申告義務と納税義務
個人事業主の消費税の申告義務と納税義務は?免税点の判定
個人事業主の消費税の判定事例(消費税8%で計算)
年度 | 年間税込売上 | 消費税の判定 |
---|---|---|
開業1年目 |
1030万円 |
免税 |
2年目 |
950万円 |
免税 |
3年目 |
1020万円 |
課税 |
4年目 |
1200万円 |
免税 |
5年目 |
1010万円 |
免税 |
※開業1年目と2年目・・・基準期間(2年前が存在しない)の売上高がないため、1年目と2年目は免税で消費税の申告は必要無し。
※3年目・・・基準期間(開業1年目)の売上高が1030万円であり、1000万円を超えているので3年目は課税で消費税の申告が必要。
このとき、基準期間(開業1年目)は免税事業者であるから、開業1年目の売上1030万円を税抜にして判定する必要はない。
※4年目・・・4年目の売上高は1200万円であるが、基準期間(2年目)の売上高が950万円であり、1000万円以下のため、4年目は免税で消費税の申告は必要無し。
※5年目・・・基準期間(3年目)の売上高が1020万円であるが、3年目は課税事業者であったため、税抜にしてから判定をします。3年目の売上高1020万円×100/108≒944万円。
基準期間(3年目)の売上高は944万円となり、5年目は免税で消費税の申告は必要無し。
個人事業主が納める消費税額の計算方法
消費税の計算方法と納める金額
消費税の納付額の算出方法を見ていきましょう。
消費税というのは、物を買ったときに消費税を払っているわけだから、個人事業主はその消費税分をすでに、そのまま税務署に納めているのではないか?という印象があります。
また、「消費税は売上に対してかかる」ということから、年間の総売上に対して消費税率をかけて、納付する義務があるのでは?というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
実際は、売り上げたときに預かった消費税から仕入れた(経費の支払いなど)ときに支払った消費税を差し引いて、残額を納付することになっています。
消費税は、売り上げたときにお客から預かった消費税をそのまま納付するわけではありません。
事業者は、仕入をしたり、経費を払ったりするときに消費税を支払っています。それを納付する消費税額から差し引くことができる、というわけです。
つまり、消費税の納税額は、売り上げたときに「預かった消費税」から、仕入や経費の支払いのときに支払った「支払い消費税」を差し引いた残額ということになります。
「預かった消費税」−「支払った消費税」=「納付する消費税」
たとえば、100円のパンを1個買えば、消費者は8円の消費税を負担して108円を支払います。パン屋さんは、その8円の消費税をそのまま納めるわけではありません。
パン屋さんは、パンを作るときに、さまざまな経費を支払っており、そのときに消費税を支払っています。また、小麦粉代などの材料代、水道光熱費などにも消費税がかかっています。
消費税は、「消費者が負担するもの」という建前になっていますので、パンを作るときにパン屋さんが支払った消費税は、納付するときに差し引くことができるわけです。
100円のパンの原価を60円とすると、パン屋さんは原価に対して消費税を4.8円(60円×8%)支払っています。消費者から預かった8円の消費税から、この4.8円を差し引きます。
その残額の3.2円を税務署に納付する計算になります。
実際に消費税を納付するときには、1年間の売上合計、仕入や経費の合計を集計して納める消費税額を計算することになります。
個人事業主の消費税の免税点と確定申告のポイント!
消費税は、売上が1,000万円以上になると課税対象となり、消費税の申告と納税の義務があります。
ただ、申告義務と納税義務が発生するのは、売上が1,000万円になったその年からではなく、その2年後になるということを覚えておいて下さい。
また、売上が1,000万円を下回った年でも、2年前の売上が1,000万円を超えていれば消費税の申告と納税が必要になります。
さらに、消費税の計算は売上にかかる消費税から支払にかかる消費税を差し引いて計算されますので、所得税の計算よりも複雑です。
消費税の課税非課税の判定の結果、消費税の申告が必要になったら、税理士事務所に計算と申告書の作成を依頼して間違いのないようにしましょう。