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青色事業専従者給与

「青色専従者給与」がイメージできる画像

 

青色事業専従者給与を必要経費に!

 

青色事業専従者に給与を支払う

個人事業の場合、配偶者や親族が従業員として働いていることが多くあります。

 

しかし、事業者が生計を一にする配偶者、その他親族に支払う給料は、原則として必要経費に算入できません。

 

「生計を一にする」とは、生活費を共有して一緒に生活している、ということです。

 

生計を一にする人に給料を支払っても、家族の中でお金のやりとりをしただけですから、必要経費にはならないのです。

 

ですが、例外として、配偶者や親族を青色事業専従者として届出した場合には、その給料を必要経費に算入できることになっています。

 

ただし、青色事業専従者に対する給与は、所得税法上の特例ですので、厳しい制限があります。

 

青色事業専従者になるためには、後で示す3つの要件をすべて満たす必要があります。

 


青色専従者給与の金額

青色専従者給与の金額の決め方がイメージできる画像

 

青色専従者給与の金額はいくら?

 

青色専従者給与の金額を決める

青色事業専従者に対して支払われた給与についても、必要経費に算入されるのは、次の3つのうち最も少ない金額となっています。

 

  • 1.現実に給与として支払われた金額
  • 2.税務署長に提出した「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された給与の金額
  • 3.労働の対価として相当と認められた金額

 

青色専従者給与として認められる労働の対価

さらに、3の労働の対価として相当であるかどうかは、以下の3つの状況で判断することになっています。

 

  • 専従者の労務に従事した期間、労務の性質とその提供の程度
  • その事業に従事する他の使用人が支払いを受ける給与の状況。その事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の状況
  • その事業の種類及び規模と収益の状況

 

上記のとおり、むやみやたらに、高額な金額は専従者給与としては認められませんので注意が必要です。その業務の対価として適正な額でなければいけません。著しく高い給与はダメということです。

 

なお、この届出書に記載した専従者給与の金額の基準を変更する場合(給与規程を変更する場合、通常の昇給のわくを超えて給与を増額する場合など)や新たに専従者が加わった場合には、遅滞なく変更届出書を提出するようにして下さい。

 

支払うことができる給与の額は、届出書に記載された額までであり、いくら儲かった年でもそれ以上に給与を出すことはできません。


青色事業専従者給与に関する届出書

 

青色事業専従者給与に関する届出書を提出

 

青色事業専従者給与に関する届出書の書き方

 

 

 

「青色専従者給与」がイメージできる画像

 

 

 

届出が必要な事業者

その年分以後の各年分の青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする青色申告者(その年に新たに青色申告承認申請書を提出した人を含む。)

 

提出期限

この届出書をその年の3月 15 日までに提出します。

 

ただし、その年の1月 16 日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内。

 

 

 

「青色専従者給与」がイメージできる画像

 

 

 

経験年数

事業主の事業に従事している期間(他の同種又は類似の事業に従事した期間があればそれを加える。)を記載します。

 

仕事の内容・従事の程度

@仕事の内容については「販売事務」「記帳事務」「受付事務」「農耕」等と併せて、その事務での職責「経理責任者」「販売責任者」等を書いてください。

 

A 従事の程度については、「毎日○時間程度従事」、「○月から○月までの農耕期に毎日従事」などと記載します。

 

※詳細が未定の場合は、経理・一般事務全般と記載しておけばOKです。

 

資格等

特殊技能等の有無について「薬剤師」「看護師」「大型運転免許」「司法書士」「簿記・珠算○級」等資格を有しているかどうかを記載します。

 

給料・賞与

@ 支給期については、「毎月○日ごろ」などと書いてください。

 

A金額については、支給する給料の月額(定額により受ける給与以外の給与があるときはその給与の種類と見込月額を付記する。)を記載します。

 

※実際に支給しようと予定している金額よりも多めに記載するようにします。

青色事業専従者の要件

 

青色事業専従者の要件

 

青色事業専従者であることを満たす3つの条件

青色事業専従者として認められるには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

 

  • 1.青色申告者と生計を一にする配偶者またはその他親族であること
  • 2.その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
  • 3.もっぱら青色申告者の事業に従事していること
  • その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)

 

青色事業専従者にはなれない者

※なお、次の者は、青色事業専従者にはなれないので注意して下さいね。
1.高校、大学、専修学校または各種学校の生徒である者(夜間の学生を除く)
2.他に職業のある者
3.老衰その他心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されている者

 

家族に給与を支払う節税メリット〜白色申告の人もOK〜

生活費を経費に計上するウラ技として、配偶者(妻)や家族に給与を支払うという方法をご紹介しました。

 

妻や家族に給与を支払えるのは、会社の場合や青色申告の場合だけだと思っている人も多いかもしれませんが、そうではありません。白色申告の人でも一定の条件を満たせば、妻や家族に給与を支払うことはできます

 

白色申告の個人事業主やフリーランサーには、専従者控除という経費が認められています。

 

専従者控除とは、何なのかというと、妻や親、子供などが、その事業の手伝いをしている場合白色申告であれば、妻(配偶者)に払う給与は年間86万円まで、他の親族に支払う給与は年間50万円までが、事業の経費として控除できる、というものです。

 

ただし、事業所得を、専従者の数に1を足した数で割った金額が上限となります。

 

たとえば、専従者控除を差し引く前の事業所得が100万円で、専従者の数が1だった場合、100万円÷(1+1)で50万円。専従者控除の上限は50万円となります。

 

専従者控除を満額の86万円にしようと思えば、専従者控除を差し引く前の事業所得が、その倍の172万円以上ないといけません。

 

これが、青色申告をしている場合には、限度額がありませんから、いくらでも専従者への給与を出すことができます。これが青色申告のメリットですし、白色申告との違いになります。

 

実際に専従者に支払っていなくても建前の上で給与になっていればOK

白色申告者(普通の個人事業主やフリーランサー)にも、最大で86万円の専従者控除が認められているわけですから、これを使わない手はありません。

 

86万円の控除が認められているというのは、税額にするとだいたい10万円以上の節税になります。「妻は仕事の手伝いなんてしていない!」と思われる方は、超超超真面目ですね。

 

仕事中にお茶を入れてくれる、仕事部屋を片付けてくれる、仕事の電話がかかってきたら応対してくれる、仕事の雑用をこなしてくれる、事務や経理をやってくれる、それらでも立派に仕事の手伝いをしていることになります。

 

もし、同じことを他人にしてもらおうと思ったら、それなりのお金を払う必要が出てきます。

 

奥さんに限らず、仕事についていない母親にも協力してもらえます。母親に仕事を手伝ってもらっていることにして、専従者控除を受けることもできます。

 

母親は、いろいろと世話を焼いてくれるはずです。部屋を掃除してくれたり、お茶を入れてくれたり、電話をとってくれたりしてくれるはずです。ですから、専従者控除を受けても全く問題ありませんし、おかしくありません。

 

家族を専従者にするのは結構簡単なわけです。

 

「給与を払えるといっても、妻に86万円も給与を出すなんて資金繰りが厳しいから無理ですよ!!」って言われる個人事業主の方もいますが、これもまた、超超超真面目に考えすぎです。

 

何も、奥さんに「今月分の給与だよ」と言って、耳を揃えて渡す必要はありません。建前上、そのようにすればいいわけです。帳簿上、奥さんに支払った形にすればいいという意味です。

 

つまり、夫婦なわけですから、生活費として渡しているお金がありますが、このうち一部を給与を出したことにすればいいわけです。

 

こういう話をすると、税理士の中には、頭が固すぎる人もいますから、融通の利かない税理士は交代の時期ですね。

 

専従者控除は、年末を超えて、これを経費にすることもできます。帳簿上だけの話になります。つまり、年度末を超えて、収支計算をしてみて、思ったよりも利益が出ていた場合、専従者控除を使って86万円を利益から差し引くこともできます。

 

また、青色専従者給与として、専従者に給与を支払ったことにすればいいわけです。

 

青色事業専従者給与の金額と届出書のポイント!

青色事業専従者に給料を支払うことができれば、青色申告者である事業主はかなりの経費を計上することができて、節税になります。

 

もちろん、事業専従者である配偶者や親族に給料を支払って、その者の所得が38万円を超えれば、配偶者控除や扶養控除を受けることはできません。

 

しかし、配偶者控除や扶養控除を受けるよりも、給料を支払ったほうが、事業主は節税となりますから、ぜひとも専従者給与を活用するようにして下さい。

 

ただし、事業専従者に給与を支払った金額によっては、事業主の扶養から外れて、国民健康保険を専従者が自分で加入する必要が出てきたり、所得税・住民税の課税対象になったりします。

 

ですので、いくらの金額を支払うかは、税理士に相談してシミュレーションするようにしましょう。

※節税対策は税理士選びが成否を分ける!


個人の所得税でも、会社の法人税でも、「節税対策は税理士選びが成否を分ける!」と言っても過言ではないでしょう。

決算書・申告書を作成する税理士次第で税金は大きく変わってしまいます。

会社の税務申告には、ほとんどの場合、税理士事務所に依頼していることが多いと思います。
個人の所得税確定申告は、ご自身である程度できますから、税理士に報酬を払って依頼するケースは、事業の規模によるかもしれません。

個人の所得税の節税も税理士事務所によって大きく変わります。

税理士事務所が税務署寄りの考え方なのか、そうでないのか、同業種・同規模の事業者でも依頼する税理士事務所によって、所得金額は大きく変動します。

来期は銀行から借り入れの予定がある、住宅を購入するために住宅ローンを組む、などの理由から、所得を多めに確定申告をする必要があるかもしれません。

逆に融資を受ける予定がない場合は、できるだけ節税するように心掛けるべきです。

社会保険料や消費税率の引き上げにより、社保・税金の負担は増えるばかりです。

また、税務調査対策も、税理士の対応次第で結果は大きく変わります。

所得税の確定申告や税務調査の対策は、柔軟な対応をしてくれる税理士事務所に依頼するようにしましょう。