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不動産所得の必要経費とは?

不動産所得の必要経費の範囲がイメージできる画像

 

最近は不動産投資を専門とした個人事業主も増えていますが、個人でアパート経営をしている場合、不動産所得の計算において気になるのが必要経費の範囲ですね。

 

必要経費は業務の遂行上必要と認められるもの

不動産所得は、所得税の計算上、アパートの家賃や地代などの収入から必要経費を差し引いて計算します。

 

必要経費とは原則、「売上原価その他総収入を得るために直接要した費用およびその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」(所得税法37条)とされています。

 

不動産所得の必要経費として一般的によく知られているのは、アパートなどの資産についての固定資産税、都市計画税、火災保険などの保険料、減価償却費や修繕費などです。

 

当然、必要経費が増えれば増えるほど所得税の節税につながりますから、必要経費になることが明らかなものについては、きちんと計上しておきたいものです。

 

一方、税務署と納税者の争いが絶えないのが、家事上の経費と明確に区分できるもので、「その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」です。

 

こうした費用についても、業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分できる場合は必要経費に含めることができます。

 

当然、個人的な生活費や趣味などに支払った費用は必要経費にはなりませんが、問題なのは、業務の遂行上必要である費用かどうかを明確に線引きすることが難しいケースです。

 

例えば、アパート経営とプライベートの両方で使用する通信費のような支出です。「アパート経営でも結構使っているから、、、」などと通信費をすべて経費扱いにしていると、後々になって税務署から誤りを指摘されることも考えられます。

 

そこで、どのような費用負担であれば必要経費として認められるのか、そのヒントとなる裁決事例を確認しておきましょう(国税不服審判所平成30年9月12日)。


不動産貸付業を営むために必要と認められる経費

不動産所得の必要経費の範囲がイメージできる画像

 

必要経費として認められた図書研修費と接待交際費

裁決書によると、Aさんは平成26年3月に勤務先を退職しましたが、その退職時期をまたいで不動産貸付業を営んでいました。

 

そして、平成25年と平成26年分と平成27年分の所得税の確定申告を行ったところ、必要経費をめぐって税務署と争いになり、最終的に国税不服審判所に判断してもらうことになりました。

 

問題となった支出は、@業務の参考図書等の費用「図書研修費」として34万円、A業務を円滑にする「接待交際費」の46万円、B福利厚生費などです。

 

国税不服審判所は、Aさんと税務署から事情を聴いたうえ、自らも調査したところで、次のような支出は必要経費となると判断しています。

 

まず、「図書研修費」のうち「不動産賃貸経営および住まいのリフォームならびに会社経営および住宅建築上のノウハウなどの建築工事に関して書かれた書籍」の購入について。

 

その中で国税不服審判所が必要経費と判断したのは、Aさんが経営する賃貸住宅の維持管理において、Aさんが自身が作業を行ったと認められるものです。

 

例えば、Aさんは、ひび割れの発生状況とその要因、ひび割れが発生してしまった後の処置について書かれた書籍を購入しましたが、実際にAさんはコンクリートのひび割れの補修を行っており、「補修のために書籍が活用された」と判断されたわけです。

 

このように、Aさんが購入した書籍が必要経費として認められるには、Aさん自身が行った賃貸物件の各室の機器や備品の交換、補修、修理など各種の作業に直接関係し、業務の遂行上必要と認められることがポイントといえます。

 

つまり、Aさんが購入した書籍が、Aさんの事業に何らかの関係がある内容であっても、客観的に見て業務に直接関係しなければ必要経費として認められないわけです。

 

なお、Aさんが図書関係で認められた必要経費は、合計10万8091円でした。

 

次に、「接待交際費」のうち、Aさんの事業に係る不動産の管理会社を訪問した際の手土産代やお菓子代、スタッフに対する謝礼のためのギフト券の購入費についてです。

 

国税不服審判所の調査により、実際に不動産管理会社に対してお菓子を贈答していることが複数回認められたほか、平成26年には管理会社が管理する物件の収入が前年より増加している事実も分かり、「不動産管理会社との円滑な取引関係を維持するために支出されたもの」として業務関連性が認められています。

 

また、同じく「接待交際費」では、Aさんが設計監理を依頼した設計会社に所属する長年の付き合いがある建築士の一級建築士合格祝いに支出した飲食代も必要経費として認められています。

 

この設計士は、建物取得時の設計担当者で、その後もAさんの事業に関し設計士として関わりがあり、Aさんが支払った飲食代は「事業に関し設計士との円滑な取引関係を維持するために支出されたもの」と判断されました。

 

なお、必要経費として認められた手土産代と飲食費の合計は3万8916円でした。

 


修繕費は収入から差し引ける?

修繕費と不動産収入がイメージできる画像

 

維持管理や原状回復は対象

個人でもアパートやマンションの賃貸で収入があったり、製造業などで収入を得たりしている場合は、不動産所得や事業所得として確定申告をする必要があります。

 

そうした事業で使う建物、機械などの固定資産の修理と、通常の維持管理や破損した部分の原状回復のための費用は、その年の必要経費となる修繕費として課税所得の計算上差し引くことができます。

 

一方、修繕費にならない部分や費用もあります。

 

@建物の改造などのうち資産の価値を高めたり使用可能な期間を延長したりするのに要した分、A建物の用途変更のための模様替えや改造、B機械の部品を高性能のものに取り換えたような場合、通常の取換費用を超える部分、などは資本的支出(しほんてきししゅつ)といいます。

 

資本的支出は、修繕費として必要経費にはできません。

 

例えば、事務所として貸していたマンションの一室を居住用に用途変更するため、大幅な模様替えをするような場合には修繕費にはできません。

 

資本的支出になった場合に必要経費になるのは、かかった費用の全額ではなく、耐用年数などで決まる減価償却費の部分になります。

 

ただ、固定資産の修理などの費用が修繕費なのか、資本的支出に当たるのかを判定するのは難しい場合もあります。

 

そこで、資本的支出か修繕費かが明らかでない場合、一定額までは修繕費として必要経費に算入することが認められています。

 

例えば、支出額が60万円未満か、取得価額の10%相当額以下なら修繕費として必要経費にできます。

 

支出した費用が価値の増加や用途変更などの資本的支出なのか修繕費なのかわからない場合支出金額が改修の対象となった建物の前年度末の取得価額の10%相当額以下であれば、必要経費に算入できます。


※節税対策は税理士選びが成否を分ける!


個人の所得税でも、会社の法人税でも、「節税対策は税理士選びが成否を分ける!」と言っても過言ではないでしょう。

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会社の税務申告には、ほとんどの場合、税理士事務所に依頼していることが多いと思います。
個人の所得税確定申告は、ご自身である程度できますから、税理士に報酬を払って依頼するケースは、事業の規模によるかもしれません。

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来期は銀行から借り入れの予定がある、住宅を購入するために住宅ローンを組む、などの理由から、所得を多めに確定申告をする必要があるかもしれません。

逆に融資を受ける予定がない場合は、できるだけ節税するように心掛けるべきです。

社会保険料や消費税率の引き上げにより、社保・税金の負担は増えるばかりです。

また、税務調査対策も、税理士の対応次第で結果は大きく変わります。

所得税の確定申告や税務調査の対策は、柔軟な対応をしてくれる税理士事務所に依頼するようにしましょう。