会社員の副業は認められるの?税金は?
会社員の副業と税金を確認しましょう
副業で気を付けたいのは税金
副業を認める企業が増えてきています。
会社員の副業には、パート、アルバイトの他、フリーランスなど様々な形態があります。
副業で気を付けたいのが税金の処理ですね。必要な手続きを怠るとペナルティーを受けることもあります。税金の仕組みを知り、失敗しないようにしたいものです。
新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに副業をする人が増えています。
リクルートが2022年に実施した調査では、正社員として働く人の9%が副業や兼業をしており、今後したいと考えている人も47%に達しました。
政府が2022年6月にまとめた「骨太の方針」にも副業の促進が盛り込まれています。厚生労働省は7月に「副業・兼業を許容しているかどうかや許容する条件をホームページなどで公表するように促しました。
会社員が副業をする際に気を付けたいのが税金です。確定申告をする必要があるのに、申告しなければ、無申告加算税などのペナルティを受ける場合がありますので注意しなければなりません。
所得が20万円超であれば確定申告が必要
基本的には副業で年間20万円超の「所得」があれば、確定申告をする必要があります。
課税の仕組みは副業の働き方や所得の種類によって違います。パート・アルバイトで給与を得ている場合は、副業の額面の給与収入20万円を超えると確定申告が必要となります。
フリーランスなど雇用されていない働き方や賃貸マンションの家賃を得る大家として副業では、収入から経費を差し引いたものが所得となります。
副業の給与収入と、その他の所得との合計額が20万円を超える場合も確定申告をしなければなりません。
実際に副業している人はどれくらいの収入を得ているのでしょうか?
パーソル総合研究所の2021年の調査によると、副業をしている人のうち、月収が5万円以上という人は、5割以上に達しました。
月5万円の収入で、単純計算で年間60万円となりますから、課税対象となる所得が20万円を超えて確定申告が必要な人は少なくないとみられます。
雇用されて給与収入を得る以外の副業については、内容によって所得の区分が違うことを知っておく必要があります。
例えば、賃貸マンションの家賃収入は不動産所得となります。建物の減価償却費や修繕費、固定資産税や火災保険料などの経費を家賃から引いた金額に税金がかかります。
購入時にローンを組んだ場合は支払利息を経費として計上することができます。ローン返済額のうち元本返済額は経費として認められません。
不定期に講演料や原稿料を受け取ったり、インターネットで物を販売したりするといったものは、基本的に雑所得となります。短期で配達員の仕事を請け負う場合も含まれます。
雑所得は、収入から経費を差し引いた金額です。手作りの作品をネットで販売する場合には、材料費や梱包資材の費用などが経費にあたります。
自宅で仕事をする場合は、家賃や水道光熱費、電話料などの通信費、仕事で使う部分が明らかに区分することができるのであれば、その割合に応じて経費として計上することができます。
最近ではアプリを使って商品を販売する人も多いと思われます。この場合は販売した物によって課税の有無が変わります。家庭内の不用品を販売した分は原則として課税対象となりません。
しかし、転売目的で購入していた物を売るのは課税対象となります。1つ30万円超の貴金属や絵画などを売った場合は、「譲渡所得」として課税の対象となります。
副業が事業所得なのか雑所得なのか
副業が事業所得なのか雑所得なのかの基準
副業でも税金が還付される場合
不定期の副業は雑所得が基本ですが、継続して収入を得て、開業届を出すなど社会的にも認められていれば事業所得して扱われます。
事業所得と不動産所得は収入が少なかったり、経費が多くて損失となった場合には、本業の給与所得と損益通算ができます。
その結果、事業所得や不動産所得と本業の給与所得の合計額が減った場合、確定申告をすることにより税金が還付される場合があります。
副業で給与を受け取る人は額面の給与収入が年間20万円以下でも、確定申告をすると税金の還付を受けられる場合があります。
副業で受け取る給与は毎月、所得税が天引きされていますが、副業先では年末調整がされませんので、所得税率が本業より高く設定されていることが多いためです。
確定申告をすれば副業の給与から納めすぎになっている所得税が戻ってきます。
事業所得や不動産所得などがある場合には、青色申告を利用する方法もあります。事前に青色申告をする旨の届出を申請したうえで、損益計算書や貸借対照表を添えて確定申告をします。
青色申告は手間がかかりますが、損失を翌年から3年間繰り越せる、といった魅力もあります。さらに複式簿記で記帳し、損益計算書や貸借対照表を作成して電子申告(e-tax)をするといった条件を満たせば、65万円を所得から差し引ける、青色申告特別控除を利用できます。
電子申告をしない場合などは特別控除は55万円または10万円となります。不動産所得の青色申告は、55万円か65万円の控除には賃貸マンションなら10室以上など事業的規模であることが条件です。
副業を赤字にして節税
事業所得と雑所得の境界線は、最高裁判所による判例でも、総合的に勘案すべき判断基準の例が挙げられていますが、どれも明確な基準ではなく、実務上は「自分が事業だといえば事業」とされていたといっても過言ではありません。
つまり、これは事業です!と主張して、ほんのわずかな収入に対して、家賃や家事関連費を必要経費に計上して事業所得を赤字にすることにより、給与等の他の所得と損益通算をすることができるわけです。
そうすれば、給与所得から源泉徴収された所得税の還付を受けることもできますし、住民税の納付額を減らすこともできるわけです。
給与所得者の給与額はガラス張りでごまかしようがありません。また、給与所得からは給与所得控除はあるものの、諸経費の控除の余地はありません。そんな給与所得者にとってこの副業による還付対策は、魅力的な節税対策です。
帳簿が基準、なければ雑所得
「収入金額が300万円以下の副業にかかる所得は雑所得」扱いとする制度変更案が反対多数で撤回に追い込まれました。
仮に、「収入金額が300万円以下の副業にかかる所得は雑所得」となれば、事業所得では適用可能な青色申告特別控除や赤字についての他の所得との通算、純損失の繰越控除などが認められないことになります。
そのため、副業がしにくくなる、企業に副業解禁を求める動きと逆行する、真面目に帳簿を付けていたのに青色申告特別控除が受けられなくなる、といった反対意見がパブリックコメントに多く寄せられました。
その結果、国税庁は、事業所得と雑所得との区分について、副業収入300万円以下は原則雑所得という金額による基準を再検討し、本業か副業の区分はせず、帳簿書類を適正に付けている場合には収入金額に関わりなく事業所得、帳簿書類がない場合には原則として雑所得、とすることにしました。
ただし、帳簿書類があったとしてもおおむね3年程度収入金額が300万円以下で、かつ本業の収入金額の1割未満の場合や、なんら改善努力も見られず赤字がおおむね3年程度続いている場合には個別に判断をする、としています。