iDeCo(イデコ)で老後の自分年金
一定の所得を得ている人にとって、年末年始は、「年末調整」や「確定申告」で税額控除に関心が寄せられる時期です。
扶養控除や生命保険料控除が所得税の控除項目として代表的ですが、いま脚光を浴びているのがiDeCo(イデコ)と呼ばれる個人型の確定拠出年金です。
掛金を全額控除できるとして加入者が急増しています。資産形成が有利に運べる制度としても注目されています。
イデコは60歳以降の生活資金に
iDeCo(イデコ)は損金算入で60歳以降の生活資金
所得がある人ならiDeCo(イデコ)を利用しないのは損です!iDeCoとは、2001年に始まった私的年金制度の一つです。2017年から公務員や専業主婦などにも対象を広げて、60歳未満の成人であれば原則、誰でも利用できるようになりました。
掛金が小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除されるため、支払う税金を少なくできるといったメリットがあります。
実際、どの程度の節税効果があるのでしょうか?例えば、年収400万円の30歳会社員が、60歳まで毎月2万円の掛金を拠出した場合では、累計で140万円ほど税負担が軽減される計算になります。
手厚い所得控除は、60歳以降の生活資金を目的とした年金制度ならではのiDeCo(イデコ)の利点といえます。
反面、iDeCo(イデコ)は掛金を60歳まで引き出すことができません。これをデメリットと捉える人が多いですが、メリットと捉えることもできます。行動経済学に基づくと、人間は将来の楽しみよりも今の楽しみを優先してしまう傾向があります。
ですから、途中で取り崩すことができないからこそ、60歳以降の目的資金を作ることができるのではないでしょうか。
手数料が割安な商品
iDeCo(イデコ)は課税される運用益が非課税
iDeCo(イデコ)の掛金は、加入者が自ら選んだ商品で運用する点も特徴です。その選択肢は大きく二つ、元本確保型の商品と価格変動商品があります。
定期預金や保険商品に代表される前者は、元本こそ割れませんが、超低金利の状況では資産を増やす効果はほぼありません。
加えてiDeCo(イデコ)は、口座管理手数料が毎月かかるため実額ではマイナスになります。預金への拠出は、所得控除によるメリットを意識した利用といえます。
後者は投資信託を指しますが、株や債券といった投資対象の価格変動があるため、短期的に値下がりすることもあります。ただ、数十年といった運用期間があれば、投資対象を幅広く分散させることで、プラスの運用成果が期待できます。
通常なら課税される運用益が非課税になる点もiDeCo(イデコ)のメリットです。選択できる投資信託も、一般に売られている同種の商品と比べて運用手数料が安いものがほとんどです。
イデコの異なるサービスと手数料
イデコの運営管理機関によって異なるサービスと手数料
iDeCo(イデコ)に加入するには、証券会社や銀行、保険会社などの運営管理機関を選び、申し込みの手続きから始めます。注意すべきことは、運営管理機関によって取り扱う商品の種類や数、口座管理手数料が異なる点です。
品揃えに注目し、運営管理機関を見極めることが大切です。投資信託のラインアップが多いほど良いわけではありませんが、適切な分散投資を図るうえでは、10〜20程度が好ましいと考えられます。
あわせて個々の投資信託の運用コストが低水準であることも重要です。年間でわずかな手数料の差も、長期運用になると同様の商品性なのに数万円も収益に開きが生じるからです。
長期にわたるiDeCo(イデコ)では、サービス内容を含めた利用のしやすさも運営管理機関選びのポイントになります。
加入者向けのウェブページの使い勝手やコールセンターの対応などを見極めてiDeCo(イデコ)をフル活用しながら資産形成を進めてみたいですね。
確定拠出年金の税制上のメリット!税金が安くなります
個人型の確定拠出年金に加入する税制上のメリットは?
個人型の確定拠出年金イデコの税制上のメリット
税金が安くなる!!って聞くだけで、うれしいですよね。
確定拠出年金は、拠出時・運用時・給付時の、三つの段階すべてにおいて税制メリットがあるんです。
つまり、確定拠出年金に加入する税制上のメリットとしては、掛金を支払うとき、資産を運用するとき、給付を受けるとき、それぞれで税制上のメリットを受けることができます。
確定拠出年金に加入する税制上のメリット
掛金を拠出するとき |
資産を運用するとき |
給付を受けるとき |
|
---|---|---|---|
税制上のメリット!! | 掛金が全額所得控除 | 運用益が非課税 | 老齢給付金受取時の所得控除 |
具体的には? |
毎月の確定拠出年金への掛金の全額が所得控除の対象となります。
その結果、所得税、住民税が軽減されます。 |
資産を運用して得た運用益は、課税されません。
|
運用した資産は、原則60歳以降、年金または一時金で受け取る場合、どちらも税制上の優遇措置があります。
年金:公的年金等控除
|
個人型の確定拠出年金イデコはどのくらい税金が安くなるの??
個人型の確定拠出年金イデコの節税金額
まず、税金の計算をする前に、所得の計算方法をご説明しますね。
サラリーマンの方は、給与所得なのですが、給与所得は給与収入(年収)から給与所得控除を差し引いて求められます。
自営業の方でいうと、必要経費ってやつですね。
サラリーマンの給与所得 = 給与収入−給与所得控除額
この給与所得控除額は速算表があり、決まっています。
給与の収入金額 (A) |
給与所得控除額 |
---|---|
162.5万円以下 | 650,000円 |
162.5万円超 180万円以下 | A × 40% |
180万円超 360万円以下 | A × 30% + 180,000円 |
360万円超 660万円以下 | A × 20% + 540,000円 |
660万円超 1,000万円以下 | A × 10% +1,200,000円 |
1,000万円超 | 2,200,000円 |
例えば、年収が500万円の方ですと、給与所得は、500万円−(500万円×20%+54万円)=346万円となります。
年収が700万円の方の場合は、700万円−(700万円×10%+120万円)=510万円が給与所得となります。
この給与所得からさらに社会保険料や生命保険料の控除などが差し引かれて、課税所得が算出されます。
確定拠出年金に加入した場合の実際の節税額は?どのくらいお得?
個人型の確定拠出年金イデコの節税金額はどのくらい?
例えば、上記の例の所得金額が346万円の人がが確定拠出年金に加入し、掛金として毎月15,000円を拠出、年間18万円を支払っている場合を考えてみましょう。
確定拠出年金の支払額の18万円は所得から差し引くことができます。
課税所得金額が346万円の場合、所得税率は20%(下記の所得税額速算表を参照してくださいね)となります。
住民税は一律10%なので、確定拠出年金として支払った分18万円の30%が節税となります。
18万円 × 30%(所得税20%+住民税10%)= 54,000円
つまり、確定拠出年金に毎月15,000円の掛金を拠出すれば、加入をせずに毎月同額を普通預金に貯金した場合と比べて、節税された年間54,000円分を手元に多く残すことができます。
もし、このまま確定拠出年金に20年間加入し続けた場合、54000円×20年間=108万円の節税になるということです。
所得に応じて、税率は異なりますので、下記の所得税額速算表を参考になさってください。
課税所得金額 |
税率 |
---|---|
195万円以下 |
5% |
195万円超 330万円以下 | 10% |
330万円超 695万円以下 | 20% |
695万円超 900万円以下 | 23% |
900万円超 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
支払った場合(掛金を拠出するとき)は、上記の例のように、所得税と住民税が節税となります。この他、資産を運用するとき、給付を受けるときも税制上のメリットがあるのが、確定拠出年金です。
税金が安くなる!確定拠出年金の税制上の3つのメリット
掛金が全額所得控除となる!
運用益が非課税となる!
公的年金控除や退職所得控除がある!
確定拠出年金に向いている人は?
確定拠出年金は自営業者に向いている
「iDeCo(イデコ)」の愛称で、話題になることが多い個人型の確定拠出年金ですが、少子高齢化がどんどん進んでいく中で、公的年金は従来の給付水準を維持していくのが難しく、そのため私たち個人が自分で年金を積み立てられるようにすることを目的にしています。
確定拠出年金は、自分で積立額を設定し運用も自分でするという、自分仕様の公的年金のようなものです。
確定拠出年金の掛金は、全額、課税所得から控除されます。老後資金を普通に貯蓄するよりも、断然メリットがあります。
確定拠出年金というと、サラリーマンのためというイメージがあるかもしれませんが、実は確定拠出年金で一番大きな枠が与えられているのは、個人事業主やフリーランサーなどの自営業者です。
自営業者は、掛金の限度額が月68,000円で、これはサラリーマンや公務員など他の加入者と比べて最高額となっています。厚生年金や企業年金のない自営業者は、国民年金だけでは老後の生活資金をとてもまかなえませんから、確定拠出年金によって年金を厚くしていこう、ということになっているわけです。
自営業者は、このメリットを最大限生かしていくことが必要です。
一方で、自営業者には、確定拠出年金と似たような制度が、すでに2つあります。国民年金基金と小規模企業共済です。つまり、自営業者は、補完的な年金制度が全部で3つあります。
そして、この3つの制度は利用条件が違う上に、掛金の上限額なども微妙に絡んできます。この3つの制度の特徴をうまく生かして、上手に組み合わせることが自営業者にとって必要になります。
自営業者の確定拠出年金の加入資格と拠出限度額
満20歳以上60歳未満。
国民年金保険料を納付していること(障害基礎年金受給者を除き、全額免除・半額免除などを受けていないこと)。
農業者年金基金に加入していないこと。
年額816,000円(月額68,000円)−国民年金基金等への年間拠出額
毎月の拠出額は、5,000円以上で1,000円単位で指定することができます。
たとえば、国民年金基金に年額48万円(月額4万円)拠出している人であれば、確定拠出年金への拠出限度額は、816,000円−480,000円で、年額336,000円(月額28,000円)となります。
国民年金の付加保険に加入している人の年間拠出限度額は、804,000円(月額67,000円)になります。
老後の資金を確保するために税制優遇制度を理解
税制優遇を生かして2,000万円確保
老後の資金問題が話題になりました。
きっかけとなった金融庁の報告書は公的年金を補うため、早い時期から自助努力での資産形成を促すことが本来の趣旨でした。
報告書が一例として示した不足額2,000万円を資産運用で作るにはさまざまな税制優遇制度の特徴を理解して併用することが重要です。
税制優遇制度は下記の表に示すとおりです。
確定拠出年金は運用成績しだいで将来の受取額が変わります。個人型(イデコ)と企業型があり、ともに運用時に非課税で増やすことができます。
イデコはさらに掛け金が全額、所得税・住民税の対象から外れ、税金が減るメリットがあります。
会社員の場合、最高年27万6000円を掛けることができ、税率2割の人なら節税額は年5万5,200円になります。
企業型確定拠出年金の導入企業に勤める人は、規約で認める少数の場合などを除きイデコを利用することはできません。
企業型は掛け金も口座管理費も会社が原則負担してくれるのでイデコより不利なわけではありませんが、掛け金が少なかったり高コストの投資信託しか選べなかったりすることもあります。
企業型で最近導入が多いのが社員自らが加入するか否かを選ぶ、「給与減額方式の選択制」です。希望すれば給与が例えば月2万〜3万減る代わり同額分を年金掛け金に回すことができます。
希望しなければ給与はそのままです。掛け金に回す分は税金や厚生年金保険料などがかかりません。払う保険料が減る分、将来もらう厚生年金は少し減りますが、かなり長生きしない限りは通常、税金・保険料を軽減できる効果が勝ります。
あまり知られていませんが、選択制導入企業では掛け金拠出を選択しない場合、イデコの利用が可能です。投信の品ぞろえが不満だったり将来の年金減が気になったりするならイデコを選ぶのも選択肢でしょう。
企業型確定拠出年金の導入企業のうち3割は社員が掛け金を上乗せできる「マッチング制度」を採用しています。
選択制と違って社会保険料は減りませんが、イデコと同様に掛け金分が所得控除されて税金が減るお得な仕組みです。
利用者はまだ少ないようですが、積極的に活用してみるのもいいかもしれません。
老後資金作りのためには、こうした個人型・企業型年金を活用し、さらに少額投資非課税制度(NISA)を併用するのが重要です。
NISAは年間上限額120万円・非課税期間5年の一般NISAと、同40万円・同20年のつみたてNISAがあります。同じ年には併用できず、どちらかを選択します。
税制優遇のある自分年金づくりの制度
個人型確定拠出年金(iDeCo) | 企業型の確定拠出年金 | つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|---|---|
対象者 |
20〜59歳(原則) |
従業員(原則) |
20歳以上 |
20歳以上 |
お金の負担者 |
本人(原則) |
会社(原則) |
本人 |
本人 |
上限額(年額) |
・会社員14.4万円〜27.6万円、主婦27.6万円、自営業81.6万円 |
33万円または66万円(原則) |
40万円 |
120万円 |
運用対象 |
預貯金・投信など |
預貯金・投信など |
金融庁承認の投信 |
株式、投信など |
税制優遇 |
掛け金は全額所得控除、運用時非課税、受給時も優遇 |
運用時非課税、受給時に優遇 |
運用益が20年間非課税 |
運用益が5年間非課税 |
引き出し時期 |
60歳以降(原則) |
60歳以降(原則) |
自由 |
自由 |